農薬問題と私たちの健康を守る方法

1. 農薬使用量、日本が世界トップ！？

日本の農薬使用量は世界的にも高い水準で、1ヘクタールあたり約11.8kgを使用しています。この数値は、農薬が農業生産において大きな役割を果たしていることを示していますが、その一方で健康や環境への影響が懸念されています。特に2015年以降、一部の農薬の残留基準値が緩和されたことで、日本は「農薬を使いやすい国」という評価を受けることもあります。

この規制緩和は、1日許容摂取量（ADI）の範囲内で行われたものですが、消費者の間では不安の声も少なくありません。

2. 農薬がもたらす健康リスクとは？

農薬の中でも「ネオニコチノイド系農薬」と「グリホサート系農薬」は特に注目されています。ネオニコチノイド系農薬は昆虫の神経系に作用し、ミツバチの大量死など生態系への影響が指摘されています。また、人間に対しても、特に子どもの発達や神経系への悪影響が懸念されています。

グリホサート系農薬は除草剤として広く使用されており、2015年に国際がん研究機関（IARC）が「おそらく発がん性がある」と分類しました。この評価をきっかけに、グリホサートを巡る議論が世界中で活発化しています。

3. 被害が確認された地域の現状

ネオニコチノイド系農薬の被害は、すでにいくつかの地域で確認されています。長野県では松枯れ対策として行われたチアクリプリドのヘリコプター散布が原因で、小学生が目の異常を訴える集団急性中毒が発生しました。また、北日本の水田地帯では、水田で使用された農薬により、イネの開花期に花粉を集めに来たミツバチが大量に死亡する現象が確認されています。

グリホサート系農薬についても影響が報告されています。日本の子どもを対象とした調査で、尿中からグリホサートが検出された事例があり、日常的に農薬に曝露されている可能性が示唆されています。また、長ネギの畝間除草でグリホサート剤を使用した際、薬剤が作物にドリフト（飛散）して薬害が発生した事例もあります。

こうした事例は、使用基準の遵守と管理が重要であることを物語っています。